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2022/07/14
お墓のこと

墓石の文字色には意味がある?剥げた時の補修方法も解説

お墓参りの時、墓石に刻まれた文字を見ていると、一部の記述が色分けされていることに気がつくことでしょう。じつは、墓石の文字色には意味があるのです。

この文字色の種類と意味を知っておくと、お墓を新たに建てるときに文字色をスムーズに決めることができます。

今回は、墓石に彫る文字の色について、種類や意味を見ていきましょう。また、文字色が剥げた時の補修方法についても併せて解説します。


墓石の文字色の種類と意味

仏教では、お釈迦様の身体や教えを象徴的に示す5種類の色が存在します。これを「五色(ごしき)」といい、墓石に使用する文字色も基本的にはこの五色のどれかから選ばれる傾向にあります。

墓石の文字色として最もポピュラーなのが白です。白は、仏陀の歯を表現しており、悪業や煩悩を清める「清浄」の意味があります。

黒(紫)

同じく文字色に選ばれやすい黒(紫)は、様々な怒りを抑えて耐える「忍辱」を意味する色です。仏陀の袈裟の色を表現しています。

仏陀の体の色を表現する黄は、揺るぎない精神の「金剛」を意味する色です。文字を強調したい際に使うとよいでしょう。

赤は仏陀の血液を表し、衆生への救済を絶え間なく行う「精進」を意味します。墓石では主に生前に授けられた戒名に使われるため、墓石に赤で書かれている人は生きているという意味を持たせることも可能です。

青(緑)

仏陀の頭髪の色である青(緑)は、心を落ち着かせた状態の「禅定」という意味があります。墓相墓では青や緑を使うケースがあるようです。


墓石の文字色の地域ごとの違い



墓石の文字は、地域によって好まれる文字色が違います。

関東地方では黒の文字色を選ぶ人が多い傾向にあります。汚れが目立たないことや、シックで落ち着いた雰囲気を出すことができる点が好まれているといえるでしょう。白御影石を使用した場合、非常に映える点も見逃せません。

一方、関西地方で人気の文字色は白です。白御影石と黒御影石の両方で目立つ点が白の文字色を選ぶメリットといえるでしょう。

汚れやすかったり、色が剥げてしまった際にその部分が悪目立ちしてしまう点はデメリットですが、塗り直しを行うことで定期的にきれいな見た目を維持できると考えることも可能です。

九州では、「金色」が人気の文字色となっています。特に長崎では金色の文字色のお墓を多く見ることが可能です。

江戸時代、長崎には貿易港である出島があり、中国との貿易が盛んでした。その際に中国の風習で、お盆に金を燃やすというものがあり、その風習が出島を通じて長崎に流入しています。

お墓の金色の文字色は、金を燃やす風習の名残のようです。


墓石の文字色の選び方



墓石の文字色には先に述べた仏教の五色を選ぶのが基本ですが、九州の例にもあるように、他の色を選ぶことも可能です。

実際、墓石の文字色については厳密な決まりはないため、故人を供養する上でふさわしいイメージの色を選ぶようにするのがよいでしょう。

黒御影石に対する白文字、白御影石に対する黒文字など、文字をくっきりと目立たせたい場合は墓石の色と逆の色を選ぶのがおすすめです。逆に文字を目立たせたくない時はグレーなどの落ち着いた色を選ぶのがよいでしょう。

文字を目立たせたいが、加えて上品さや神々しさを出したい場合は金色を選ぶのも手です。敢えて文字色をつけない、という方法もあります。墓石の材質や色目をそのまま活かす形となるため、自然な仕上がりが期待できます。

総じて、理想とする完成形から逆算して、どの文字色がよいかを考えるのがおすすめの選び方と言えるでしょう。最終的にどのようなお墓にしたいかを考えることで、どの文字色を使えばよいかも定まってきます。

墓石の文字色が剥げた場合の補修方法



墓石は屋外で風雨に曝されますから、建立から時間が経つと文字色も劣化していきます。そのため、久しぶりにお墓参りに行ったら文字色が剥げてしまっていた、ということもあり得るのです。もしも文字色が剥げた場合は、補修をすることをおすすめします。

補修を行うお墓が寺院墓地の場合は、事前に住職などの管理者に補修を行いたい旨を連絡するようにしましょう。自分で直すにしろ、業者を呼ぶにしろ、寺事前に話を通しておくことが大切です。

補修部分が少ない場合や、補修にお金をかけたくない場合は、専用のペンキや名入れ補修ペンを用意して自力で補修するのがよいでしょう。補修用のペンやペンキなどはホームセンターで入手可能です。また、ビニローゼという塗料を薄めて使用すると、劣化への耐性を強めることができます。

きれいに仕上げたい場合は、石材店に補修を依頼するのも手です。その際は、お墓全体のメンテナンスを行うためにも、墓石のクリーニングも併せて依頼するとよいでしょう。お墓から近い石材店に依頼すると、費用を抑えることが可能です。

まとめ

墓石の全体的なイメージを決める上で、文字色は非常に重要です。文字色を選ぶ際には、色の意味にも着目しつつ、故人をどのような形で供養したいかを考えながら選ぶのがよいでしょう。

また、文字色が剥げてくるとみすぼらしい印象を与えてしまいます。定期的に補修を行い、常に新鮮な気持ちでお墓参りを行えるようにしましょう。